業界研究(学習塾)
- 2018/8/20
- コラム
1.学習塾の市場規模は、約9,500億円。淘汰も進んでいる。
学習塾は、公的機関の統計上は、以下のように定義されます。
【学習塾】
「小学生,中学生,高校生などを対象として学校教育の補習教育又は学習指導を行う事業所。進学塾、予備校を含み、家庭教師は含まない。」(日本標準産業分類より)
経済産業省「特定サービス産業実態調査 2017年(速報)」によれば、学習塾の事業所数は、本調査で学習塾の統計が取られ始めた2009年と比べて、会社組織で増加、非会社組織で減少しています。一方、学習塾の年間売上高(市場規模)は、2017年に9,500億円程度でしたが、事業所数同様に、会社組織で増加、非会社組織で減少しました。
学習塾業界においては、大手学習塾チェーン企業などが代理店やフランチャイズの展開を積極的に進めたため、小規模な個人運営塾等は淘汰されていったと考えることができます。
2.指導のタイプは大きく「集団指導型」と「個別指導型」に分かれる。
学習塾には、多人数の生徒を1つの教室に集め、全員に同じ講義を行う「集団指導型」と、生徒一人一人の理解度に合わせて、教室内で個別に指導を行う「個別指導型」に分かれます。
この「集団指導型」と「個別指導型」の近年の動向について見ると、小学生を対象とした塾では、「集団指導型」が生徒数・市場規模ともに増えており、中学生・高校生以上を対象とした塾では、「個別指導型」が市場規模で増えているという現象が見られます。これは、小学生の個人差は小さく、学年が上がるほど、個人差が激しくなるためだと考えられます。マーケットの特徴を的確にとらえて、指導のタイプを選ぶことが肝要かと思われます。
3.生徒の学力や志向に対応したタイプも存在する。
学習塾には生徒の学力や志向に合わせた様々なタイプの塾も存在します。
・難関校受験対応型塾
中学入試、高校入試、そして大学受験において、難関校と言われる学校を受験し合格させることを第一の目的とした塾です。そのため、ほとんどの塾が、入塾テストを実施し、合格者に集中的な指導を行います。全国に代理店やチェーン教室を持つ大手学習塾は、自社主催の模擬試験と正確な合否判定までも行います。
・標準指導型塾
地域の学校の授業の標準的な進み具合に応じて、学校の予習または復習のための補助的な授業を行う塾です。生徒が学校の授業についていける事を主目的としており、講師は、大学生のアルバイトのレベルで対応可能です。
・自主学習型塾
プリント教材やパソコンソフト、または講義ビデオなどを教室で見て、自習形式で理解を深めていく塾です。講師の指導は最小限に留められますが、教材や学習システムには、ほぼ完璧に近い完成度が求められます。繰り返しの反復学習などにより、主体的な学習姿勢や基礎学力の修得に適しているといえます。
4.6つのポケットを狙え
子どもの教育費は「6ポケット(6人の財布)」から出ると言われています。子どもから見た父と母、そして、父方・母方、両方の祖父母たちが、子どもの教育費を支えているという意味です。そして、国も、家計の子どもへの教育費を支える政策を行っています。両親や直系尊属である祖父母から子どもや孫に教育資金を一括して贈与する場合、子・孫ごとに1,500万円までを非課税(学校以外に支払われる金額は500万円までを非課税)とする措置が創設されています。
教育業界においては、この6つのポケットも意識しておくべきだといえるでしょう。
(文責:WizBiz株式会社 代表取締役社長 新谷 哲)
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