業界研究(カフェ業界)
- 2018/7/2
- コラム
1.市場規模・推移
カフェ市場を喫茶店の市場と捉えると、2016年の市場規模は、1兆1,175億円と前年比で1.0%の微減となっています((一社)日本フードサービス協会の推計値)。
一方、フランチャイズ業態に絞ったコーヒーショップの売上高は、2016年で4,374億円(前年比7.7%増)となっており、チェーン数は43チェーン(前年度より2チェーン増)、店舗数は5,897店舗(前年度より341店舗増)といった状況で、いずれも増加しています((一社)日本フランチャイズチェーン協会)。
カフェの運営母体を組織別にみると「法人」が運営している店舗は、2012年から2014年にかけて8.8%増加しています。「個人経営」は3.3%の減少となっています。「法人」の割合が最も高いのは東京都の53.3%で、「個人経営」の割合が最も高いのは和歌山県の92.3%です(平成26年経済センサス基礎調査)。
2.利用状況
単身世帯の家計支出状況から、年代別・性別にカフェの利用状況を見ると、34歳以下の女性の利用金額が最も高くなっています。
都市別に見ると、1世帯あたりの喫茶代支出金額は、岐阜市、名古屋市が突出しています。いずれも「喫茶店文化」で有名な地域です。次いで、東京都区部、横浜市などの都市で高くなっています。
また、カフェ(喫茶店・コーヒーショップ)利用における個人の飲用状況(1人1週間あたりの杯数)は、2012年0.23杯、2014年0.19杯、2016年0.37杯と、直近では倍増しているのが分かります((一社)全日本コーヒー協会)。
3.業界の特徴
(1)立地条件
喫茶店に対する顧客ニーズは立地によって大きく異なるため、まず立地ごとの特性や顧客ニーズを把握することが重要です。
駅前立地 | 人の流れは早朝から深夜にまでおよび、客層・ニーズともに多様です。競合店も多く存在します。 |
オフィス街 | 平日(特に昼どき、出勤前の朝と退社後)は安定した集客が見込めますが、土日は大きく減少します。企業への宅配ニーズも見込めます。 |
学生街 | 低価格が望まれます。学生が休みの時期には客数が減少するほか、学生のたまり場となりやすく、客回転率が低い可能性が高いでしょう。 |
繁華街 | 人通りが多いため、比較的容易に集客することができます。土日に客数が増加します。客層は幅広いのが特徴です。 |
ロードサイド | 車で30分以内の近隣住民や、車での通勤通学途中の客などが固定客となります。ファミリーレストランと競合しやすい面もあります。 |
商店街 | 出店する商店街の集客力に客数が左右されます。客層は近隣商店の従業員や住民、来街者が中心となります。 |
住宅地 | 顧客の多くが固定客となります。ファミリー、とくに主婦層のニーズへの対応が重要視されます。 |
出店候補地と取り組みたい業態・コンセプトが合っているのかを慎重に確認する必要があります。駅前立地や繁華街は来店客が多いのですが、同時に、賃料など出店コストも非常に高いことなどに留意する必要があります。
(2)店舗タイプ
カフェ業態は多様化が進んでいます。出店するカフェのコンセプトを考える際に参考になるよう、業態別に特徴をまとめました。個人で開業する場合、大手カフェチェーンにはない特徴や魅力を訴求した店作りが重要です。
コーヒー専門店 | “よりおいしいコーヒー”を追求しています。コーヒーの品揃えは豊富で、オリジナルブレンド商品なども提供しています。店舗面積は小規模ながらこだわりの店舗が多いのが特徴です。 |
軽食喫茶 | 飲み物とともに、サンドイッチやスパゲティ、トースト、カレー、ピラフなどの軽食も揃えています。昔ながらの喫茶店に多い業態です。 |
セルフサービス型 | シェアを拡大している業態です。価格帯や商品内容、雰囲気などから以下のタイプに分けられます。 【低価格型】 ブレンドコーヒー1杯150~240円程度、客単価400円未満の店です。都市部のビジネスマンを中心に人気があります。席配置などの店舗レイアウトは機能性を重視しており、メニューもコーヒーやパン類に絞り込まれています。 【高価格型】 |
カフェ型 | 軽食喫茶よりも食事に比重をおき、「喫茶+食事」を提供しています。独自性ある付加価値のフードメニューを揃え、他業態との差別化を図っています。フードメニューの充実から客単価が高いのが特徴です。 |
付加価値型 | ネットカフェ(複合型カフェ)と呼ばれ、マンガや雑誌を豊富に揃え、PCを利用できるなど、喫茶以外を目的とした店舗です。ビルの空中階へ出店しテナント料を抑えています。滞在時間による課金制をとっています。 |
甘味喫茶 | 和菓子や軽食がメニューの中心。煎茶や抹茶などのお茶のメニューを主体とした店もあります。幅広い年齢の女性を集客しています。 |
(文責:WizBiz株式会社 代表取締役社長 新谷 哲)
商号: WizBiz株式会社
所在地: 〒108-0014 東京都港区芝5-16-7 芝ビル
事業内容: 経営支援、ビジネスマッチング、セミナー・イベント企画ほか
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