インタビュー記事「ナック様」
- 2013/2/6
- インタビュー

CMでもお馴染みの水宅配サービス「クリクラ」の事業を展開されている「株式会社ナック様」
全国で600以上の加盟店を展開されていらっしゃいます。
今回は、クリクラの事業全体を統括されていらっしゃる小磯様(常務執行役員クリクラ事業本部長)にお話しを伺いました。
協会)本日はよろしくお願いします。まず初めに現在の事業のご状況を教えていただけますでしょうか?
小磯本部長)クリクラ事業は、直営店と加盟店の2つチャネルで展開しています。直営店は約23店で顧客数は17万件、加盟店は約620店で顧客数が33万件、合計で50万件のお客様に安全・安心なお水をお届けしています。

協会)事業がここまで大きくなった要因はどのようにお考えでしょうか?
小磯本部長)当社は昭和46年にダスキンの加盟店としてスタートしました。フランチャイジーとしてBtoB、BtoCのノウハウをある程度確立してきたということが、クリクラの事業にも活かされていると自負しております。もともと建築コンサルティング事業部で中小工務店のネットワーク化というのをやっていて、加盟店開発ノウハウと併用できたという点も成功要因として挙げられます。
協会)なるほど。確立されたノウハウの中で教えていただけるものはありますでしょうか?
小磯本部長)そうですね。当社のノウハウの一つに「お客様にとって何の縛りもない」ということが挙げられます。まずウォーターサーバーを設置しお水をお届けします。もちろんお試しは無料。お使いいただいて自分のライフスタイルに合っているということであればご契約。必要ないということであればサーバーを回収させていただきます。
お試ししやすく、辞めやすいようにしているのです。辞める時に辞めにくいのではないか、と心配されるお客様もいらっしゃいますが当社は非常にあっさりしている。もちろん違約金などの制約もありません。
これまで我々は、お客様がプレッシャーを感じずに親しみを持ってもらえる仕組みを培ってきました。無料でお試ししてもらい新しいライフスタイルの使い勝手の良さを理解してもらったり、対面でお水を配達したり。そのようなやり方で時間を掛けてお客様と接してきたことが事業を大きくできた要因だと考えています。

協会)他の宅配水の会社とはどのように差別化を行っていらっしゃるのでしょうか?
小磯本部長)安全性や味のおいしさについては業界最高レベルだと自負しています。ただ、お客様にとって決定的に差別化できているかどうかは分かりません。これは、私どももチャレンジし続ける部分であると思います。
それ以外の差別化としては、やはり「対面対応」という点です。お客様の在宅時にお伺いして「サーバーの調子はいかがですか?」「宅配のご都合はいかがですか?」という話をさせていただきます。調子が悪ければすぐに交換ができるし、旅行など長期で家を空ける場合は配達を一時ストップするという柔軟な対応ができます。
特に最近は、重い水を買って運ぶことが負担となっている、ご高齢のお客様の宅配ニーズを取り込むことにも力を入れています。
サーバーの色や形の種類も増やさないという点も差別化になっているかも知れません。結局は、コストアップになってお客様のコストに跳ね返ってしまいますから。
協会)組織は人と言われるように人材はとても重要ですが、貴社の人材育成についてお話しを伺えますでしょうか?
小磯本部長)基本はこれまでお話ししてきたようにお客様との対面対応力の教育が中心になります。営業面としては、私どもがこういう形で行えば必ず成功しますという方程式がありますのでそれをお伝えしていきます。
加盟店が200店くらいまではスーパーバイザー(以降、SV)を1人2人送って、半年から1年かけてノウハウを落とし込むということも行ってきました。ただそれもすべての加盟店に対応できていたかというと残念ながらそうでもありません。
その後、力を入れたのは3日間の初期研修です。こちらでまず商品特性や安全管理の基本を学んで頂く。その次に現場での実地研修。SVは当社の営業経験も製造経験もある者が担当します。あとは1ヶ月に1回は実際に会ってその後の進捗をヒアリングしたり、疑問に思う事を聞き出しクリアにしたり、年に1~2回は地域ごとに加盟店を集めて勉強会を行ってきました。
2013年にはマニュアル類を整備しクリクラカレッジ(宅配水のスタッフ育成機関)をオープンさせ、直営店も加盟店も初期研修から一人立ちするまでを守備範囲として人材育成を行っています。
協会)加盟店には経営指導も必要だと思いますが、その点はいかがでしょうか?
小磯本部長)すべてではありませんが、プラントを立てて大きく事業展開したいという加盟店にはビジネスプランをご提示して一緒にやらせていただいたりします。お互いに数字を出しあって協議しながら進めていきます。
ただ、多くの加盟店は、新規顧客件数、純増顧客件数、解約件数、解約率という営業的な数字を見ていくことが大半です。あくまでも1件でも多く契約を獲得しましょう、解約を少なくしましょうと私どもの指標をもとにお話しさせて頂きます。
今後は、アセスメント(客観的評価)を導入し、責任者の方もしくはトップマネジメントの方に、経営指数をいれながらそのエリアのビジネスチャンスをうまく提供させていただく予定です。
協会)成功している加盟店とそうでない加盟店の違いはありますか?
小磯本部長)お客様との対面対応が重要ですので、メンバーが安定しないところは苦労しています。特に指導すべき責任者の方が変わってしまうとこちらも大変です。こちらとしてもリーダーシップを発揮できると思ってお願しているのですが、みんなが始めからできるわけではありません。こういった背景もありアセスメントをスタートさせる事になったのです。
当社のノウハウ、アポイントメントから入り、設置、回収、クロージングという展開のなかで必ずやる事とやってはいけない事を明確にしていますので、それができれば成功する仕組みはできています。
協会)ありがとうございます。協会にも良く質問が来るのですが、加盟店同士のバッティングに関してはどのように対処されていらっしゃいますか?
小磯本部長)加盟時にある程度ラインが引けるように拠点を設置していますが、バッティングについては特に仕切ってはいません。
当社のルールとしては、配達拠点から1時間以内が適切なエリア、としています。1分1秒でも超えないようにと。しかしながら、イベントを行った際など、エリア外のお客様を獲得してしまうこともあります。獲得した場合はやってもらうしかありませんが、あとあと大変になってきます。
その場合は、お客様にご了解を得て、より近くの加盟店さんに担当を変わってもらうということもあります。
ただ、配達員を気に入ってご契約いただいているので、あくまでもお客様の了解を得ることが前提です。玄関先でコーヒーをいただくといったお付き合いになることもあるので、そう簡単な話ではありません。
そもそも、クリクラの世帯普及率は、全国でもまだ1%程度。市場でバッティングすることはそれほど多くありません。宅配水市場全体で見ても、普及率は5%程度なので、今は攻めの時期だと考えています。
しかし、将来的には、加盟店同士のバッティングを考慮しなければならない時期も来るでしょう。本部としては、市場状況を随時確認しながら対応します。実際に、加盟店募集をストップしている地域も一部にありますが、現在はまだ、そうでないエリアが大多数です。
協会)業界は今後どのようになっていくとお考えですか?
小磯本部長)まずは、日本における宅配水ビジネスの普及率を現在の5%から20~25%へと増やしていきたい。欧米のように大きな産業として成り立たせたいと考えています。そのためには、すべての事業者がお客様に優しく、新しいライフスタイルの提案をしていくことが必要です。
違約金が必要だとか、企業側の都合で料金が高くなってしまう、ということもなくしていく必要があります。このようなことがあると業界全体が誤解されてしまいますから。
お客様に認められる業界になり、市場が拡大していけばそれだけ多くの加盟店様も成功していけると思っています。
協会)ありがとうございます。最後に貴社の事業展開をお聞かせいただけますでしょうか?
小磯本部長)当社は、沖縄を除く日本全国46都道府県への直営店、加盟店を出店し、キーとなるところにプラントを作って物流のネットワークを完成させています。
これからは、業務の効率化を行うとともに、物流のトータルサプライチェーンを意識しています。
最終的には商材だけではなくお水を売るための伝票、チラシ、ユニフォーム、車に至るまでオーダーと共に、加盟店の皆様に届けられるようにしていきたいと思っています。
クリクラというブランドをみんなと一緒に広げていく。クリクラ自体が一つの産業として立派な形になっていくことを考えています。
それを目指していくために、企業として体制や姿勢を整え、正しいビジネスをやっていくという事が我々の使命です。
協会)現在代理店展開されている企業様、これから展開される企業様にとって役立つヒントをたくさん頂戴しました。本日はお忙しい中ありがとうございました。

<会社プロフィール>
会社名: 株式会社ナック
所在地: 〒163-0675 東京都新宿区西新宿1-25-1 新宿センタービル42階
代表者: 代表取締役 寺岡豊彦
設立: 昭和46年5月20日
ホームページ: http://www.nacoo.com/
宅配水「クリクラ」: http://www.crecla.jp/
加盟店募集ページ: http://www.crecla.net/