本部向けノウハウ

代理店の成果を上げるためのコミュニケーションツール

「効果的な代理店とのコミュニケーション方法」
 日本代理店協会顧問税理士 野村知栄(野村会計事務所)

前回のコラムでは「代理店が狙い通り動いてくれるためのストーリー作り」についてお話しました。今回は代理店の成果を上げるためのコミュニケーションツールについてお伝えしてまいります。

本部のみなさんは代理店とどのようなコミュニケーションを取っていらっしゃるでしょうか?前回お話したように、本部は、一方的に数字を押し付けるのではなく、代理店の事業目標と中期計画、予算を達成するためにみなさんのビジネスが必要だと理解していただく必要があります。それがストーリー作りという意味です。これは初期の段階、つまり代理店加盟時点での話ですが、その後のコミュニケーションをどう取るかです。ビジネスですので「頑張ってますか?」「どうですか?」という当たり障りのない会話ではなく、数字に基づいたコミュニケーションが必要です。

コミュニケーションの主な内容は予算管理です。その予算管理においては予算の実行をコントロールするプロセスを明確にする必要があります。財務情報の集計サイクルが月次であることから、一般的に多くの企業が予算を月次で管理しています。また、ビジネスの商慣習としても、月ごとにまとめて請求や支払いを行うことが多いため、管理サイクルも月次にするほうが都合がよいという理由もあります。

代理店ビジネスでは、月次において予算と実績の差異を代理店本部が各代理店へ報告するとともに、その対応について各代理店から代理店本部へレポーティングし代理店本部が報告資料をまとめると良いでしょう。代理店経営会議のような会議体を設けて、その報告資料を基に課題の対応策を報告し本部と代理店が議論できるようにするとより強固な代理店組織が出来ます。これを「代理店だから・・・」と代理店任せにしてしまうと、期待した成果は出ないと考えて良いでしょう。

予算管理は進捗状況の管理が重要であるため、月次で管理している場合は、当月度の実績と予算の差異が最初に着目する部分となります。予算管理に使用されるレポート形式は、商品やサービスに応じて様々です。予算管理フォーマットでは、「サマリー(要約)を作る」、「グラフを活用する」、「重要テーマに絞る」、「不要な管理をやめる」の4点を常に意識し、「問題点を発見しやすくするための資料」と、「その原因や対策を見つけるための詳細な資料」を分けます。この両方をいっぺんに表現しようとすると、どちらも達成できない中途半端な資料となってしまいますので注意が必要です。予算管理フォーマットで重要なことは、予算と実績差異の大きいところが一目でわかるようにすることです。

予算管理の課題の1つが、予算管理にかかる時間とコストです。予算管理のプロセスはいつも同じようにやっていても、分析や管理上の要求により多少の追加作業が付け加えられることによって、知らず知らずのうちに肥大化する傾向があります。したがって、品質の向上(予算管理上のミスやエラーを減らし、予算の精度を高めること)、コストの低減(予算管理にかかるコスト、特に人件費を削減すること)、スピードアップ(予算編成のプロセスの期間を圧縮し、予算統制プロセスの実績集計及び分析にかかる時間を早めること)を意識し、定期的にプロセスの改善に努めなければなりません。

今回のコラムを今後の本部-代理店間のコミュニケーションに役立てていただければ幸いです。

>>次回はどのように予算を作っていくかについてお話いたします

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