代理店が狙い通り動いてくれるためのストーリー作り

02.08

「代理店が狙い通り動いてくれるためのストーリー作り」
 日本代理店協会顧問税理士 野村知栄(野村会計事務所)

前回のコラムでは「代理店本部が行うべきPDCAとは何か」ということをお話しました。今回はPDCAを回すためにも必要なストーリー作成についてお伝えしてまいります。

事業目標を達成するためには、目指すべき姿、到達目標である中期計画を立てます。「業界No.1を目指す」といったような表現をしている企業も多いものです。この中期計画は数年先の目標であるため、途中でその目標が達成できれば新たに高い目標を再設定すべき時限的なものです。

一方、予算は、中期計画に基づいた通常1年の財務的(数値)計画という位置づけです。中期計画は一般的に3~5年の計画とされ、売上や利益などの企業全体の経営目標とそれを実現するための重要な施策の両方が含まれます。これに対して予算は、具体的に誰が何を実行すればよいかを明確にするための数字でなければなりません。

代理店に対してもこれと同じことをしなければ本部としての役割を果たしたことにはなりません。1つ1つの代理店の財務目標や、目標を達成するための施策(もちろん本部のビジネスが組み込まれた施策になります)、実行体制、責任者、スケジュールが示されなければなりません。

ここで重要なのは「なぜ今回の数値目標に至ったのかというストーリー」です。本部が一方的に押し付けた数字ではなく、代理店の事業目標と中期計画、予算を達成するためにみなさんのビジネスが必要だということを分かりやすく伝えられる必要があります。

各代理店へトップダウン的に方針を指し示すのか、方向性だけを指し示しボトムアップ的に数値目標を各代理店から出してもらうのかについては、ビジネスの特性に合わせて決めることになります。いずれの場合であってもトップダウン的な期待値とボトムアップ的な積上値は、本部の予算作成全体を通して調整していきます。

予算作成方針が不明瞭であったり、不整合であったりすると、各代理店の個別予算が後で整合しなくなり、やり直しなどによる手戻りが発生するため、慎重な検討が必要です。

ボトムアップ型の予算作成の場合、各代理店が予算案を作成し、代理店本部に提出します。代理店本部は代理店予算を集計し、総合予算を作成することになりますが、代理店本部の期待値と、各代理店の現実的な達成可能値に乖離がある場合、両者の合意形成が得られるまで調整が必要になります。また、ある代理店が目標を下げた場合には、その分を他の代理店がカバーするための調整も必要になります。

この調整作業に多大な時間を要するため、時間の無駄と指摘されることがありますが、これは単に調整作業をしているだけではなく、どうすれば目標達成が可能になるかという施策を検討する過程も含まれ、その過程における議論は、代理店が目標達成を宣言するうえでも重要なものです。

予算を負う代理店が数値目標を宣言するためには、その数字を達成できるたけの勝算、目算が必要であり、代理店本部からの強い期待を感じる必要があります。この過程において重要なことは代理店本部と代理店のコミュニケーションです。

>>次回は代理店とのコミュニケーションをどのように行っていくかについてお話いたします

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