快適な営業のススメ(Comfortable Sales)

■はじめに

「営業は難しい」日本にはなぜかそういった固定観念があります。難しいと思うから、うまく行かない原因を「営業」そのものにしてしまう。「今回はダメだった。営業は難しいからしょうがない。」果たして営業は難しいのでしょうか?

実際に、各業界のトップセールスパーソンに聞くと、皆一様に、営業を「簡単」だと考えています。もしくは、営業そのものを「営業」だと思っていない場合もあります。この「簡単」を体系化し他の営業に伝えていこうとあらゆる試みがなされてきました。しかし、これといった有効な成果が出ていないというのはご存知の通りです。

私どもが考案した「Comfortable Sales」(コンフォータブルセールス)は、この常識を覆し、これまでのどのメソッドよりも簡単で、しかも、どのメソッドよりも効果的ですので、翌日から効果を実感できると思います。特殊な能力を必要とせず万人が活用することのできる非常に簡単なセールス手法で、熟練してくれば、営業がいかに「簡単」かもご理解いただけると思います。

この「Comfortable Sales」が、これまでの悪しき営業手法を払拭し、貴社の業績に大きく貢献し、貴社セールスパーソンの心理的・経済的な幸せをもたらすことを祈念いたします。

■快適なセールス

人と人に相性があるように、営業の場面では快適/不快があります。あなたが営業をしている際に感じる違和感は、相手があなたの営業スタイルを「不快」だと思っているから感じるのです。反対に、営業を受けていて感じる違和感は、あなたが感じている不快そのものなのです。

今まではこれを、「相性」で片付けていたため、相性が合う相手をひたすら待ち続けていたのです。この途方もない相性探しの営業は、さながら1億2,000万人をカードに見立てた神経衰弱のようです。

あなたがなんらかの方法で、この相性をぐっと引き寄せることができたら、不快をすべて快適に変えることができたら、営業はずっと「簡単」になります。

「Comfortable Sales」は、この快適な営業を行うためのメソッドです。

このメソッドは、心理学を難しく説くものではありません。また、相手を騙して契約を取る手法でもありません。営業の場面で相手に不快な思いをさせることなく、契約までのステップをスムーズに踏んでいくための手法です。

マスターすれば、営業が楽しくなり、あなたのセースルが劇的に変わることでしょう。そして、多くの契約をいただけるようになるでしょう。もちろん、扱う商品・サービスが、お客様に適していなければ契約には結びつきませんので誤解のないように。

■4つのモード

快適な営業を行うためには、通り一辺倒の営業スタイルではなく、相手に合わせたセールスが必要です。人それぞれ個性がありますから、お客様の好む営業(セールスパーソン)を演じます。

もちろん、あなたにも個性はありますので、その個性を変える必要はありません。営業の要所要所で、お客様の好む営業スタイルを取ればいいのです。そうすることにより、お客様はあなたといる時間が「快適」と感じますので、営業を有利に進めることができます。

「Comfortable Sales」では、お客様を、態度や考え方に応じて4つのモード(状態)に分け、モード別の対応をします。このモードは固定されている訳ではなく、車のギアのように環境やその日の気分等により入れ替わります。

お客様のモードをいち早く察知し、そのモードに合わせたセールスを行います。こうすることで、初めて会った時から、お客様に「快適」を感じてもらうことができるのです。

モードには、友好、楽天、決断、分析の4つがあります。ニュートラルな「友好モード」、ハイテンションな「楽天モード」、無愛想な「決断モード」、冷淡な「分析モード」です。このモードを把握し、次章で説明するストーリーを活用すれば驚くほど簡単に営業を展開することができるようになります。

■ニュートラルな友好モード

車でいえばニュートラルの状態、つまり特別な要因がない限り、ほとんどのお客様がこの友好モードに入っています。初めて会うお客様には、この友好モードに対するセールスをします。そして、後述する他のモードだと気付いた時には、さっとセールス方法を変更します。

友好モードは、表情は普通で、嫌われないようにニコニコしています。初めて会った時でも嫌な印象は受けません。それは、無意識のうちに相手(あなた)に対して柔らかい印象を与えようとするためです。これは、社会生活を送る私たちの条件反射とも言える行動だと考えられます。

このモードのお客様からは、あまり責任感を感じません。一般的なサラリーマンや公務員といった印象が強く、結論をあいまいにしたり、検討します、といった中途半端な発言を連発します。

また、仕事の話よりも、趣味や家族(お子様)の話のほうが盛り上がります。仕事で時間を取っているというよりは、誰か来た、いい人かな?友達になれるかな?というモードだと捉える事もできます。

この友好モードに対する心構えは次の通りです。
1)相手のペースに合わせ、ニコニコ和やかな雰囲気を作り出す
2)強引に迫らず、お友達関係を保ちながら軽い感覚で結論を聞く
3)結論は選択させるのではなく、オススメを提示してあげる

一番気をつけなければいけないことは、この友好モードは結論が非常に遅いということです。通常1週間で決定できることであれば、2ヶ月、3ヶ月かかることが普通です。この長い期間、あきらめずに定期的に連絡をし続けることが必要です。

■ハイテンションな楽天モード

明るく大きな声で一方的に話し始めるのが楽天モードです。底抜けに明るい状態です。会った瞬間にそのテンションに圧倒されますので、モードの見極めが容易にできます。

初めて会うお客様、ご挨拶を済ませる間もなく、お客様が大きな声で話を始めます。もうそれは楽天モードに間違いありません。このモードのお客様は、世間話が大好きで、冗談を良く口にします。

相手のテンションに合わせ、こちらも大きな声で、エネルギッシュに話を合わせます。合わせると言っても、こちらが一方的に話すことは嫌いますので、「えーそうなんですか!」「すごいですねー!」といった相槌を連発する必要があります。

この楽天モードに対する心構えは次の通りです。
1)相手のペースに合わせ、エネルギッシュに話す
2)こちらから仕事の話しに切り替えない
3)とりあえず、という結論の取り方をする

楽天モードの判断基準は、あなたが楽しい人(営業)かどうかだけです。お客様のテンションに合わせ、話を聞き、一緒に笑います。お客様が「それで、今日は何の用事だっけ?」と言ってきてから同じテンションで仕事の話をします。そして、「とりあえず」と仮の申込みを取ることでお客様に「快適」と感じていただけるのです。

■無愛想な決断モード

友好モードだと思って話しかけても、無愛想な返事しか返ってこないことがあります。その場合は、この決断モードか次項の分析モードに入っていると考えられます。

決断モードがどのような状態かというと、結論を早く出したい、この商談が有益かどうか早く判断したい、という状態です。特に毎日様々な判断を迫られている経営者や、役割が多く仕事が忙しいお客様は、どんどん決断していかないと仕事をこなすことができません。そのような状態ですので世間話を長々とすると完全に「不快」感を与えてしまいます。

決断モードのお客様が求めていることは、結論です。あなたの会社、商品・サービスが有益であることと短時間で説明しなければいけません。有益だと判断されると、初めて心を開き、目を合わせて話してくれるようになります。

また、お客様は自分で決めることに喜びを感じますので、あなたが「こちらの方かオススメですよ」というような判断はいりません。あなたの判断は不要であり、不快を与える要因です。

この決断モードに対する心構えは次の通りです。
1)仕事の話を手際よくする
2)商品・サービスの有益性を訴える
3)必ず二者択一で聞く

日々決断を行っている決断モードのお客様は、あなたとあなたの会社、商品・サービスが有益かどうかを一刻も早く見極めたいと思っています。そのことを早く伝えることができれば、ぐっと身を乗り出し話を聞いてくれ、契約の判断もその場で行ってくれます。

■冷淡な分析モード

友好モードだと思って話しかけても、無愛想な返事しか返ってこない。もう一つのモードが分析モードです。こちらは人としての温度を感じない、冷淡な反応をされます。

分析モードは、日頃、物事を冷静に分析しなければいけない立場、技術者や経理部門のお客様に多く見られます。決算期や予算編成期間など、時期的な要因で、分析モードに入っていることもあります。

この分析モードのお客様とは、楽しい商談は期待できません。背筋を伸ばし、資料を1ページずつ丹念に説明する必要があります。これは、分析モードのお客様が、あなたの商品・サービス、そして持参した資料が正しいものであり、根拠となるデータが揃っていないと契約をしないという特徴を持っているからです。

この分析モードに対する心構えは次の通りです。
1)順序を決め、ゆっくりと丁寧に説明する
2)根拠となるデータを多数揃える
3)結論は相手のペースで(いつ決められるか聞く)

分析モードのお客様は、初めて会った時、あなたのことを信用できない人間であり、あなたの持っている商品・サービスが信用おけないものだと思ってこちらを見ています。ですから、背筋を伸ばし、お客様が心を開くまで論理的に説明をする必要があるのです。

■3つのフェーズ

前章でお客様を4つのモードに別けることを説明しました。この章では、それぞれにどのようなトークを展開すれば良いか見ていくことにしましょう。まず、営業全体の流れから説明し、次いでそれぞれのフェーズでのトークを見ていくことにします。

営業のフェーズは捉え方によりその数が異なりますが、ここでは、大きく3つに分けて考えて見ます。初めてお客様のところへ訪問した時の「初訪」、商品・サービスを提示する「提案」、最後に購入や契約をする際の「契約」の3つのフェーズです。

ここでは便宜的に3つにフェーズに分けて考えますが、営業を3回に別けるという意味ではありませんのでご了承ください。商品・サービスによっては、1回の訪問で契約まで到るかも知れません。逆に、コンサルティング系や、高額商品は、提案までに何度も顔を合わせないといけない場合があります。

更に言えば、提案(プレゼンテーション)をしていく過程で、1つ1つ合意を取っていくという契約(クロージング)方法もあります。貴社の商品・サービスに合わせて、最も効果的な流れを早く確立する必要があります。

■初訪フェーズ(ファクトファインディング)

初めてお客様のところへ訪問することを初訪といいます。ここでいきなり会社案内や商品・サービスの説明をする営業(セースルパーソン)がいますが、大きな間違いです。

「お客様がコレを欲しいと言っているから、説明を先にするのが礼儀でしょう」という方もいるかも知れません。でも、お客様はあなたに比べてその商品・サービスの素人です。お客様が欲しいと言ってもすぐに売ってはいけません。

なぜその商品・サービスが欲しいのか、お客様の動機を聞き出すことが先決です。これをファクトファインディング(実態把握)と言います。そして、その情報を元に、プロであるあなたが、こちらの商品・サービスがいいですよ、とお奨めするから初めてその商品・サービスが売れるのです。

友好モードのお客様の場合、こちらが挨拶をするとにこやかに応対してくれます。軽く世間話をしてみましょう。世間話の基本は、てきとうに(天気、気温、友達、生まれ、ニュース)です。ここで世間話がスムーズにできるなら友好モードに間違いありません。ゆったりとした雰囲気でお客様が何に困っているのかを聞いていきましょう。

楽天モードのお客様は、この初訪の段階で一気に様々な話を一方的にしてきます。せっかく営業の機会を得たのだからと、お客様の話を遮って用意してきた資料を出してはいけません。焦らず、お客様が話を終えるまで、大きな声で、エネルギッシュに相槌を連発しましょう。

決断モードのお客様に余計な挨拶は禁物です。挨拶を済ませたら、さっと本題に入りましょう。この手際の良さが評価され、次のステップに進めます。この段階で落ち度があり、できの悪い営業、無益な営業だと評価されると、次の商談はありません。

分析モードのお客様は、初訪での挨拶も素っ気ありません。決断モードのお客様と同様、さっと仕事の話に入る必要があります。しかし、手際の良さはかえって逆効果です。分析モードのお客様には、ゆっくり対応し、きちんとメモを取ることで信用を得られます。

■提案フェーズ(プレゼンテーション)

初訪でお客様のファクトファインディング(実態把握)が完了したら、次は提案です。お客様の問題を全て聞きだす前に提案すれば、それはただの物売りになります。物売りの場合、よほどタイミングが良くなければ契約には到りません。

提案内容はお客様の問題の全てもしくは大部分を解決するものでなくてはいけません。この当たり前のことができていない営業が多過ぎます。一方的に自社の商品・サービスの説明をするのではなく、それがお客様の問題をどう解決するのかを示すのです。

友好モードのお客様に対しての提案は、初訪と同様にニコニコ和やかな雰囲気で行わなければいけません。また、途中で相手の考え方を丁寧に聞いていき、その内容に同調しお互いの信頼関係を築いていくことが必要です。

楽天モードのお客様には、エネルギッシュに提案していかなければいけません。ここで気を付けなければいけないのは、細かいことをくどくどと説明しないことです。また、人との違いや、限定性を強調すると喜ばれます。

決断モードのお客様は良いと思えば必ず契約します。この時に必要なことは、余計な話をせず商品・サービスがいかにお客様に有益かを最短の道筋でご理解いただくことです。数字やデータも必要ですが、こまごま説明せずその数字が何を意味しているか結論から述べることが快適を呼びます。

分析モードのお客様は、順序と論理、豊富なデータ量がものをいいます。言葉は悪いですが「馬に食わせるくらいの資料を用意すること」と説明しています。このデータが不足していると、あなたの商品・サービスはニセモノとして評価されますので、まず契約してもらえることはないでしょう。

■契約フェーズ(クロージング)

契約フェーズは、契約を迫る瞬間です。この契約を迫る一言を「快適」にするためには、これまでの初訪、提案までの流れが「快適」と思われているかが重要です。その上で、この契約が快適に行われなければいけません。

契約の場面で、重要なのはタイミングと迫る強さです。お客様の好む契約方法に従って、お客様の好む強さで契約を迫れば、快適と感じていただけます。ここで、タイミングや強弱を間違えると、一瞬のうちにこれまでの営業活動が水の泡になります。

友好モードのお客様は、友好的な関係を保とうとするため、契約を持ちかけるとするするっと逃げようとします。通常はそのような対応をされると、脈がないと思って他のお客様にアプローチしてしまいますが、営業は辛抱強く契約を迫り続けていかなければいけません。

楽天モードのお客様は、どこまでが仕事の話か分かりません。相手のハイテンションなペースに合わせていると次第にこちらの意見も受け入れられるようになります。お客様の勢いを利用して、契約も勢いで頂きます。

決断モードのお客様は、早く決着をつけたいと思っています。しかしながら、営業(セールスパーソン)に結論をリードされるのは嫌います。お客様が快適に感じていただけるクロージングは、二者択一です。2つのプランを常に用意し、契約に持ち込んでください。

分析モードのお客様は、論理的なモードにいますので、契約も営業は全くあてにせず、自分で結論を導き出そうとします。そこに必要なのはデータです。契約の判断に必要なデータ・資料がなければ請求してきますので、遅延なく提出しましょう。

■さいごに

営業は上手ければ売れるというものではありませんが、まず、最低限のルールを分かった上で望めば、何の策を持たない状態よりも確実に売れます。

最後に、実際の商品・サービスとの組み合わせ方について言及したいと思います。

自社が扱う商品・サービスを、今まで以上に売るためには、営業方法の研究と開発が必要です。ほとんどの会社は、この部分を怠って努力と根性を中心とした営業(セールスパーソン)の能力に頼って販売しています。

この状況から脱却するには、営業方法を一つ一つ研究し、新しい、効果的な営業方法を次々と開発していかなければなりません。ほとんどの会社が行っていないのですから、これらを行えば他社との優位性は格段に上がります。

研究は、「論理と証拠」を基本に行います。人間は論理的に考えますから、誰がどう考えてもこちらの方がいい、というところまで突き詰めて、営業方法を考えます。そして、最も大切なのは、証拠です。論理が通って購入を決断しても、証拠がなければ、最終的な購入には至りません。

開発は、「現場での実践」の結果をフィードバックすることにより、より効果的な営業方法を見出していく作業です。常に2つ以上の方法を用意し、A案とB案、どちらがお客様の反応が良かったか、どちらが実際の売上につながったか、など考察していく必要があります。そして、ふとした瞬間に生まれる言葉(フレーズ)も大切にしていきます。

これらの考え方と、本メソッドでご紹介した「快適な営業」が組み合わさった時に、営業は非常に簡単に、そして驚くような効果を生み出す活動に変わっていきます。

本メソッド「Comfortable Sales」が、貴社の業績に大きく貢献し、貴社セールスパーソンの心理的・経済的な幸せをもたらすことを願ってやみません。 

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