10月の後半に入ると、降雪地域を中心にスタッドレスタイヤへの履き替えの予約が増え始め、11月から12月にかけて作業が一気に集中します。タイヤメーカーや卸からの仕入れは、品薄になりやすい人気サイズを確保するために秋のうちに数量を確定させる必要があり、交換作業のための臨時スタッフや預かりタイヤの保管場所の手配も繁忙期の前に済ませておかなければなりません。一方で、法人の車両をまとめて請け負う案件は月末締めの後払いが中心で、入金は年明けにずれ込みます。今回は、日本代理店協会に相談されたタイヤ・カー用品の販売代理店の事例をもとに、運転資金900万円の調達で冬の繁忙期に対応できたケースをご紹介します。
ご相談の背景
この代理店は、複数のタイヤメーカーや卸と代理店契約を結び、乗用車・軽自動車・商用車向けのタイヤやホイール、チェーンなどの冬用品を、個人客と地域の法人に販売しています。店舗での販売と交換作業に加え、運送会社や建設会社、介護事業者などの社用車をまとめて履き替える出張作業と、履き替えたタイヤを翌シーズンまで預かる保管サービスを強みにしてきました。年間売上の半分近くが10月から1月に集中しており、毎年この時期になると手元資金が細ることに悩んでいました。
資金繰りが逼迫した要因
資金繰りが厳しくなった背景には、次のような要因が重なっていました。
- 人気のサイズや銘柄は初雪の予報が出ると一気に品薄になるため、秋のうちに数量を確定して仕入れる必要があり、在庫の支払いが販売より先行した
- 11月から12月の作業集中に備えて、臨時の作業スタッフの採用と研修、出張作業用の車両や工具の手配を前倒しで進める必要があった
- 預かりタイヤの増加に合わせて外部の保管倉庫を追加で借りることになり、契約時に保証金と数か月分の賃料を求められた
- 法人の車両の一括履き替えは月末締め翌月末払いが中心で、12月に作業した分の入金が1月末から2月にずれ込んでいた
日本代理店協会にご相談いただいた内容
「昨シーズンは初雪が早く、注文が集中したときに追加の仕入れ代金が用意できず、人気サイズが欠品して他店にお客様を取られてしまった。今年は法人からの引き合いも増えているので、早めに在庫と人手を確保したいが、年明けの入金まで資金が持つか不安だ」というご相談でした。需要は毎年確実に見込めるものの、仕入れと人件費、保管費の支払いが先に来るため、思い切った準備に踏み切れないという状態です。
調達に向けて整理したポイント
- 過去3年分の月別の販売本数と交換作業件数を整理し、初雪の時期によって需要の山がどう動いたかを示したうえで、10月から12月に必要となる仕入れ額と人件費・保管費の規模を数字で示せるようにした
- 前払いが必要な仕入れ先と締め後払いでよい仕入れ先、保管倉庫の保証金や臨時スタッフの給与日を一覧にし、資金が最も不足する時期と金額を先に明確にした
- 確保する数量は、前年の販売実績と法人のリピート契約、保管サービスの預かり台数をもとに設定し、売れ残りのリスクが小さいことと、余った在庫も翌シーズンに持ち越せることを説明できるようにした
- 法人の入金と店頭販売の売上が集まる1月から3月を返済のヤマに置き、季節性に合わせた無理のない返済ペースを設定した
結果
資金使途と入金予定、返済原資を整理して説明できるように準備したことで、運転資金900万円の調達につながりました。調達した資金は人気サイズの早期の在庫確保と臨時スタッフの採用、追加の保管倉庫の契約に充てることができ、昨シーズンのような欠品を出さずに、個人客と法人の履き替え需要に対応できたとのことです。あわせて、仕入れ先ごとの支払い条件と法人の入金時期を踏まえて、毎月の資金計画を見直す運用に切り替えられたそうです。
まとめ
季節商材を扱う代理店では、売上が立つ時期よりかなり前に仕入れや人手、保管場所の手配に支払いが発生するため、需要が伸びるほど手元資金が苦しくなりがちです。とくに冬タイヤは初雪の時期によって需要の山が前後し、法人取引の入金は年明けにずれ込むため、受注の伸びと資金の動きに大きなズレが生じます。大切なのは、繁忙期が来てから慌てるのではなく、資金使途と入金予定を整理し、返済原資まで含めて説明できるように前もって準備しておくことです。同じように先行仕入れや入金の遅れで資金繰りにお悩みの代理店の方は、日本代理店協会の資金調達無料相談窓口までお気軽にご相談ください。