01 はじめに
2025年の特定商取引法改正により、誇大広告・不実告知・不当な勧誘行為などに対する罰則が大幅に強化されました。
代理店営業を展開する企業や販売パートナーにとって、この改正は「営業トーク」や「集客手法」に直接影響を与える重要な内容です。
本記事では、改正の背景と具体的なポイント、そして代理店制度における実務上の注意点を解説します。
02 改正の背景と概要
少子高齢化やネット通販の拡大により、訪問販売・電話勧誘・SNS勧誘などを通じたトラブルが増加しています。
こうした状況を受け、消費者保護を強化するため以下のような改正が行われました。
主な改正ポイント
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行政処分・刑事罰の強化:業務停止命令や罰金額の上限引き上げ
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連鎖販売取引(マルチ商法)への規制強化:誤認を招く説明や過度な勧誘の禁止
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広告表示の透明化義務:SNS・Webサイトでの「体験談風広告」なども規制対象
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クーリングオフ制度の明確化:電子的手段による申出も正式に有効化
03 本部が注意すべきポイント
- 勧誘ルールの教育・管理体制を強化
・本部が作成した営業マニュアルやトークスクリプトに誤解を招く表現が含まれていないかを再点検。
・定期的に「コンプライアンス研修」や「ロールプレイ」を実施し、代理店の説明品質を担保する。 - SNS広告やインフルエンサー投稿も監督対象
・本部が依頼または許可したPR投稿が「誇大表示」や「体験談の装い」と判断される場合、指導・処分対象になる可能性。
・ステルスマーケティング(通称ステマ)防止のガイドラインに沿った運用を徹底。 - 罰則は本部責任にも波及
・代理店の行為であっても「本部の指導・監督責任」が問われるケースあり。
・契約書に「遵守義務」や「違反時の是正措置」を明記しておくことが重要。
04 代理店が注意すべきポイント
- 営業トーク・資料内容の正確性
・「確実に儲かる」「元が取れる」などの断定的な表現は禁止。
・製品性能・契約条件・保証内容は、必ず本部提供の正式資料を使用。 - SNS投稿・口コミのリスク
・広告であるにも関わらず「個人の感想」と誤認される投稿は違反対象。
・「#PR」「広告」などの明示を怠ると、罰則の対象となる可能性があります。 - 契約説明の透明性を確保
・顧客の同意なしに契約を進める、クーリングオフを妨げるなどの行為は厳罰化。
・対面・オンライン問わず「説明内容の記録」や「確認プロセスの可視化」を意識しましょう。
05 協会からの提言
営業は強ければ強いほどよいというものではありません。
代理店が不適切な営業を行えば、それは他の代理店や本部にも影響を及ぼします。
最悪を想定して、どんなルールを作り、どんな教育をすべきかを、今一度ご確認ください。
※広告であることを隠して行う、ステルスマーケティングについても十分ご注意ください。(関連リンクあり)
■ 関連リンク(参考)
※個別の事案については必ず弁護士等の専門家にご相談ください(リンク先は参照元であり当協会と直接関係はありません)