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【法務解説】独占禁止法と販売代理店の取引制限リスク

法改正・注意喚起

01 はじめに

代理店制度は、本部と代理店が協力して販路拡大を図る有効なビジネスモデルです。
しかし、取引条件の設定や販売方法の指示内容によっては「独占禁止法(公正取引委員会管轄)」に抵触するおそれがあります
特に、価格拘束・販売地域の限定・再販売価格維持・競合他社との取引制限などは、本部の意図に関わらず「不当な取引制限」や「優越的地位の濫用」とみなされる可能性があります。

本記事では、販売代理店制度における代表的なリスクと、その回避策を整理します。

02 独占禁止法とは?

独占禁止法は、公正かつ自由な競争を確保するために制定された法律です。
企業間の取引において、競争を制限したり他者の自由な経済活動を妨げる行為を禁止しています。

主な禁止事項は以下のとおりです。

  • 不公正な取引制限
    価格協定、販売地域の制限、販売数量の制限など
  • 不当な取引拒絶
    特定企業との取引を一方的に拒否する行為
  • 優越的地位の濫用
    取引上の立場を利用して不当な条件を押し付ける行為
  • 再販売価格維持行為
    代理店に対して販売価格を固定させる行為

03 本部が注意すべき「不公正な取引制限」

本部が代理店に対して以下のような指示を行うと、違法と判断されるケースがあります。

  • 「この地域では他社商品を販売してはいけない」
  • 「必ずこの価格で販売すること」
  • 「インターネットでは販売しないように」
  • 「競合メーカーと取引しないこと」

これらは、代理店の営業自由を不当に制限する行為とみなされるおそれがあります。
特に、再販売価格維持行為は、独占禁止法第19条違反として原則禁止されています。

回避策のポイント
・販売価格は「希望小売価格」として提示するに留める
・契約書に「販売地域」や「販売方法」に関する制約を明記する際は、合理的理由を添える
・代理店に対する取引停止・契約解除は、客観的・公正な基準に基づいて行う

04 代理店が注意すべき「拘束条件付き取引」

代理店側も、知らずにリスクを抱えることがあります。
例えば、

  • 他社製品を扱うと契約解除される
  • 販売報酬の支払い条件が一方的に変更される
  • 特定の広告・販促方法を強制される

このようなケースは、「優越的地位の濫用」に該当する場合があります。

05 違反リスクを防ぐためのポイント

双方が押さえておくべき実務対策

  • 契約書には「目的」「範囲」「解除条件」を明確に記載する
  • 販売方針やキャンペーン内容の変更時には、文書で合意を取る
  • 「独占」「専売」などの表現は慎重に使用する
  • 法務担当または第三者機関による契約書レビューを定期的に行う

06 協会からの提言

独占禁止法は「相手を縛るためのルール」ではなく、フェアな市場競争を維持し、長期的なパートナーシップを守るための法律です。
本部側も代理店側も、契約内容をブラッシュアップしながら最適なパートナー関係を構築していただきたいと思います。
不明な点があれば当協会にもお気軽にご相談ください。

■ 関連リンク(参考)

※個別の事案については必ず弁護士等の専門家にご相談ください(リンク先は参照元であり当協会と直接関係はありません)

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