「代理店の報酬はいくらにすれば集まりますか?」「他社は何パーセントくらいでやっているんですか?」これらの質問もよくいただきます。
広告の場合、広告代理店が得る報酬は20%が標準ですし、物品販売の場合、卸店が扱うのは30%~50%(利益は小売店への卸価格との差)、小売店の場合は、50%~70%(利益は販売価格との差)というような数字だと思います。
では代理店はどれくらいか?というと、どこまでの業務を行ってもらうかというボリュームの面と、お客様はどれくらいいるか、売りやすいか売りにくいか、といった難易度の面も考えて決めなければいけないと思います。
一概に何パーセントでなければいけないというはありませんし、何パーセントでなければ集まらないということもありません。判断するポイントは、この金額で「売りたいと思うかどうか」です。
本章「仕組みを作る」でご紹介したサプライ型のように、見込客の情報をメーカーから提供されて、代理店は現地に行って説明するだけ、という代理店であれば、手間賃+アルファに、どれくらいの確立で契約が決まるかを考慮した報酬で十分だと思います。
マーケ型で、見込客を自分で探してきて、契約や契約後の顧客対応全てをやらなければいけないとなれば、相当な報酬を用意してあげなければいけません。継続収入になるのかどうかによっても変わりますし、報酬額に関しては個別に判断しながら公正妥当と思えるかどうかで決める必要があります。
1人(1社)のお客様から貴社が得ることができる利益を調べます。販売価格から原価、諸経費を引けば利益はすぐに出せますが、ここでは、もう少し踏み込んで考えて頂きたいと思います。つまり、1人のお客様が初回の購買から最後の購買に至るまでの利益=顧客生涯価値を考えます。
お客様から得られる全ての利益を合計し、お客様数で割り、1人のお客様から得られる平均利益を出します。
利益の合計 ÷ お客様数 = 平均利益
次に、1人のお客様を獲得するために、何人の見込客を獲得しなければいけないかを過去の実績から調べ、顧客化率を算出します。
実績がなければ、他社からヒアリングしたり、マーケティング会社から近い数字を入手するなどして下さい。
お客様数 ÷ 見込客数 = 顧客化率
最後に、平均利益と掛け合わせ、一人のお客様にかけられる投資可能費用を算出します。
平均利益 × 顧客化率 = 投資可能費用
販売代理店を構築するためには先行投資が必要ですが、計算上は、この投資可能費用の範囲内であれば見込客一人を獲得するために、支払って良いことになります。
この投資可能費用の使い方として、以下の2つに注目して頂きたいと思います。
1)販売代理店への投資
1件あたりの報酬と、キャンペーンなどでの奨励金など
2)お客様への投資
ディスカウントや無料サンプル、モニター費用など
販売代理店への報酬(インセンティブ)はもちろんですが、お客様へ投資することにより、商品・サービスの魅力は格段に上がり、販売代理店は販売しやすくなります。
別の計算式もご紹介しておきます。計算には顧客生涯価値(LTV)※と顧客獲得単価 (CPA)※を使います。
※Lifetime Valueの略。全顧客の売上÷顧客数
※Cost Per Actionの略。広告宣伝など顧客を獲得するのに要した費用÷新規獲得顧客数
報酬 = LTV-CPA-自社で残したい利益
もしくは
報酬 = 自社でのCPA-代理店経由でのCPA(予測)
いずれにしても、漫然と決めるのではなく、根拠をもって計算しておけば、後で見直す時にどの部分が見込みと違ったのか、どの数字を変えればいいのか、などがはっきりとします。
「代理店構築マニュアル」について
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