ここでは代理店契約をする際にチェックするべきポイントなどをご説明いたします。
売り方を教えてもらえるか聞く
代理店を募集している企業の中には、売り方を教えることに注力しているところがあります。
営業経験がない場合に限らず、メーカーが売り方を教えてくれるということは「この商品・サービスは、こういう相手に、こうやって売ればいい」ということが分かっているということ。
フランチャイズではないので、教えられた売り方以外の方法で営業してはいけない、ということはありませんが、何もないところから売り方を考えるよりも、基本の売り方を教えてもらってからアレンジする方がずっと楽です。
どこまで教えてくれるのか、研修があればどのような内容で教えてくれるのか、ということを聞きましょう。一部の企業は、説明では丸1日研修すると言っておきながら、1時間ほどで研修を終了するようなところもあります。こうした企業ではないかと疑いながら、教えてもらえるプログラムを事前に聞きましょう。
募集企業のチェックポイント
通常、企業と新しく取引をする際は、
・会社の住所
・事業内容
・ホームページの有無
・事業開始年月
・取引先実績
・社長の経歴
などをチェックされると思います。
代理店募集の際には何をチェックすればいいでしょうか?
実は調べようと思っても事業を開始したばかりの会社や、ホームページが充実していない会社の場合にはあまり情報を入手できません。
また、情報が正しいとしても、代理店で成功するための基準というものがありませんので自分の感に頼らざるを得ません。
当協会がみなさんにお伝えしたい企業選びのポイントは、「対応がきちんとしているか」です。
代理店担当者だけで判断することはいけないかも知れませんが、電話の態度が横柄だったり、メールが署名もなく届いたら、きっとこういう会社なんだと判断するべきです。
反対に電話もメールも丁寧で好感が持てるようでしたら、会社全体のレベルが高いと考えられます。
小さく、無名の企業でも良い商品・良いサービスを持っていて良い会社がありますので、是非他社よりも先に発見していただければと思います。
商品・サービスのチェックポイント
これから代理店をやるという際に、最も見なければいけないポイントですし、みなさんが興味があるのもここではないでしょうか。
その商品・サービスが良いか、売れそうか、ということもそうですが、是非他の点でも考えてみてください。
まず、あなたがその商品・サービスを購入する側になった場合、どうやって購入するかを考えてみてください。
インターネットで比較して購入するなら、インターネットで販売できる代理店でなければいけませんし、インターネット広告費も相当かかります。
競合他社と比較するなら、競合他社よりも良い商品・サービスでなければいけません。
衝動買いをするものなら、チラシなどのセールスツールそのものの出来が良くなければなりません。
また、その商品・サービスの寿命についても考えてみてください。
製品ライフサイクルという言い方をしますが、その商品・サービスが生まれて売れなくなるまでを、導入期、成長期、成熟期、衰退期と4つの段階に分けて考えます。
導入期は、認知され売れるまでに苦労もありますが、メーカーとしてみれば共に苦労してくれた仲間ということで特権や有利な条件をもらえる可能性があります。
成長期は、売れている状態なので、メーカーとしても代理店としても一番収益が上がる時期です。
成熟期は、認知もされていますが競合も多く、利益率が低い場合が多いので、代理店としての魅力は少なく、衰退期は参入すべきではありません。
もちろん、商品・サービスによっては、導入期から成長期に以降できず、そのままなくなっていくものもたくさんあります。
商品・サービスを選ぶ際にはこうした製品ライフサイクルについてもチェックしてみてください。
価格と報酬のチェックポイント
みなさんが代理店をやろうと考えている商品・サービスには、当然販売価格が設定されています。
でも、その価格を一度疑ってみていただきたいのです。
なぜ、その価格なのか?本当にそれで売れるのか?
よくあるケースが、「ウチは他社の半分程度の価格なので絶対売れます」と言っているのに、報酬額を見てみたらほとんどない。これでは誰も売ってくれませんよね。
プライシングという、マーケティング用語がありますが、値段を決めるということもビジネスでは成否を分ける重要な要素です。
原価がこうだからいくらで売る、というよりも、いくらならお客様が買っていただけるか、それに対して代理店の報酬はいくらなのか、ということでチェックしてみていただきたいのです。
他のポイントと違って、価格をこうしたほうがいい、と代理店がメーカーに提案しても受け入れられる可能性はほとんどありません。一度決めた値段はなかなか変更が難しいからです。
他の代理店にもその値段で言っていますし、すでに購入しているお客様もいます。印刷物も刷り直さなければいけませんし、システムを組んでいたらお金をかけて修正しなければなりません。
やるとするならば、付加価値をつけて高くするか、余分な機能やサービスを削ぎ落として価格を下げるという方法になるでしょう。
いずれにしてもお客様の目線に近いのはこれから代理店になろうとしているあなたが、この価格でいいのかどうかをチェックしてみてください。
また、当然のことながら何個売ればいくらの収益になるかという試算をして、実現可能かどうかをチェックしてみてください。
商品・サービス名をチェック
みなさんが代理店を選ぶ際に、商品名や、サービス名を見て、それから資料を請求したり問い合わせをすると思いますが、その名前の付け方を評価・判断していただきたいと思います。
メーカーもネーミングについて無頓着だったりします。
みなさんが選ぶときに、商品・サービス名と、効果効能がマッチしていなくて「?」と思ってしまうなら、お客様も同じような反応をします。そこから説明、説得していかなければいけないのですから余計な手間が増えます。
また、今はインターネットで必ずといっていいほど比較をされますので、その商品・サービス名が検索されやすいかどうかも見極めなければなりません。
OEM(自社ブランドで製造・販売すること)で商品名・サービス名を変更していい場合を除いては、今ついている名前にずっと影響されますので、購入者にとって分かりづらい名前が付いている場合には代理店契約するのは考えた方がいいかも知れません。
入金サイクルをチェック
入金サイクルとは、みなさんが販売してから、みなさんの銀行口座に報酬が支払われるまでの期間がどれくらい短いか、というポイントです。
当然1日でも早い方がいいですが、募集企業によって大きく異なりますのでチェックが必要です。
例えば通信系の場合、販売してから3ヶ月から4ヶ月かかるという場合もあります。これは、電話の工事が完了してからという要素が加わっているからです。
最短ではメーカーに入金後すぐに、というものもありますが、一般的には月末締め、翌月末払いが多いと思います。中には月末締め翌10日、もしくは翌15日、としてくれるところもあります。
少なくとも数日間のタイムラグがありますので、代理店がお客様と直接契約して集金、その後、代理店からメーカーに商品・サービスの仕入れ価格を支払うという入金サイクルが最も経営的には望まれます。
代理店が料金をお客様から回収して、卸価格との差額をメーカーに振り込むという場合もありますので、どのような入金サイクルになるのかも事前にチェックしてみましょう。
売れるかどうかをテストする
代理店契約を締結する前に、仮で販売できるようならテストしてみましょう。チラシを配布して販売するのなら、何枚か配ったり人に見てもらって反響を探ります。また、法人営業などの場合は、営業候補先に「今度このようなビジネスを始めるようと思うのですがいかがでしょうか?」と聞いて回りましょう。
メーカーが言っている反響が正しいかどうかよりも、あなたが販売するとどうなるかが重要です。メーカーが提示する数字はあくまで参考値であると認識し、考えられる販売方法を試してみて、その結果から契約するかを判断しましょう。
契約書をチェック
契約書は、契約内容のすべてが網羅されていなければなりません。報酬額、入金サイクル、役割分担、責任の所在、など、重要な項目はもちろん、担当者が約束した内容についても、契約書に書かれていなければ追記してもらうようにお願いしましょう。
契約書を締結する時は、代理店の方が立場が有利だと考えて頂いていいと思います。こういったら契約してもらえないのではないかと考える必要はなく、遠慮なく注文をつけましょう。
いくら商品・サービスが良くて、一生懸命販売しても、契約書を盾に取って報酬が支払われないということがあっては目も当てられません。メーカーも内容の薄い契約書しか用意していないことが多いので、ここは妥協せず、誤字脱字も含め厳しくチェックしましょう。