ヒアリングで相手の課題をつかめても、それを提案書にうまく落とし込めなければ、社内決裁の場で提案は通りません。とくに代理店の提案書は、商談相手がそのまま上司や経営層に回覧することが多く、担当者が口頭で補足できない場面で読まれます。ところが本部が商品資料やパンフレットを整えていても、「提案書をどう組み立てるか」は担当者ごとの自己流になっていることが少なくありません。今回は、代理店の提案書作成力を高めるための研修の考え方と進め方をご紹介します。
提案書が自己流になりやすい理由
- 本部が配布する資料が商品説明中心で、顧客ごとの課題に合わせて組み立て直す手順が示されていない
- 成約につながった提案書が担当者の手元にとどまり、代理店全体で共有・再利用されていない
- 提案書の良し悪しを判断する基準がなく、本部も代理店も「分かりやすいかどうか」を感覚で評価している
研修で身につけるべき3つの力
- 構成を組み立てる力:現状と課題、解決策、導入後の効果、費用と進め方という基本の流れに沿って、読み手が決裁に必要な情報を順番に得られる構成をつくる
- 根拠を示す力:ヒアリングで聞き取った数字や、導入事例・試算を用いて、効果を「期待できます」ではなく具体的な根拠とともに示す
- 読み手に合わせる力:現場担当者、部門責任者、経営層など、提案書を最終的に読む人が何を判断材料にするかを想定し、要点と表現を調整する
研修の進め方
- 本部が過去の受注事例をもとに、提案書の標準構成と各ページで書くべき項目をまとめたテンプレートを用意する
- 受講者は、実際の商談またはモデルケースのヒアリング記録をもとに、テンプレートに沿って提案書を作成する
- 作成した提案書を受講者同士で読み合い、「この提案書だけで決裁できるか」という観点でフィードバックし合う
- 本部の担当者が、根拠の示し方や費用対効果の説明に不足がないかを確認し、書き直しを経て仕上げる
定着させるための仕組み
- 成約・失注にかかわらず提案書を本部に集約し、通過した提案書の共通点を定期的に整理して共有する
- 提案書のチェックリストを用意し、提出前に代理店自身が確認できるようにする
- テンプレートや事例集は一度つくって終わりにせず、商材の改定や市場の変化に合わせて見直していく
まとめ
提案書作成力は、センスや文章力に頼るものではなく、構成の型と根拠の示し方を決めることで誰でも一定の水準に引き上げられます。研修の目的は見栄えのよい資料をつくることではなく、担当者がその場にいなくても相手の社内で提案が正しく伝わり、判断してもらえる状態をつくることです。まずは自社の受注事例から、通過した提案書の構成を洗い出すところから始めてみてください。代理店向けの研修設計や本部の支援体制についてお困りのことがありましたら、日本代理店協会までお気軽にご相談ください。