10月に入り朝晩の冷え込みが強まると、石油ファンヒーターやFF式暖房機の買い替え・新規設置の相談が一気に増え始めます。寒冷地を中心に、本格的な冬の前に設置を終えたいという依頼が11月にかけて集中するため、販売代理店は人気機種の在庫確保と設置工事の段取りを秋のうちに済ませておかなければなりません。一方で、工事完了後の請求や法人・施設からの入金は月末締めの後払いが中心で、手元に資金が戻るのは冬の終わり近くになります。今回は、日本代理店協会に相談された暖房機器の販売代理店の事例をもとに、運転資金800万円の調達で冬の繁忙期に対応できたケースをご紹介します。
ご相談の背景
この代理店は、複数の暖房機器メーカーや住宅設備の卸と代理店契約を結び、石油ファンヒーター、FF式暖房機、エアコン、灯油タンクなどを個人宅や店舗、介護施設、事務所に販売しています。販売だけでなく、FF式暖房機の給排気筒の設置や灯油配管の工事、古い機器の撤去までを一括で請け負えることが強みで、地域の工務店や管理会社からの紹介案件も少なくありません。年間売上の6割近くが10月から1月に集中しており、毎年この時期に手元資金が細ることが課題になっていました。
資金繰りが逼迫した要因
資金繰りが厳しくなった背景には、次のような要因が重なっていました。
- 人気の機種や大型のFF式暖房機は、寒波の予報が出ると品薄になりやすく、秋のうちに数量を確定して仕入れる必要があり、在庫の支払いが販売より先行した
- 設置工事の依頼が11月に集中するため、協力業者の工事枠を早めに押さえる必要があり、着手金や前払いを求められるケースが増えた
- 介護施設や店舗の入れ替え案件は台数が多い一方で、工事完了後の月末締め・翌々月払いが中心で、入金が年明け以降にずれ込んだ
- 昨シーズンに欠品で受注を断った反省から、今季は在庫を厚めに持つ方針にしたことで、仕入れの規模が前年より大きくなった
日本代理店協会への相談と対応
代表者は、繁忙期に入る前に資金の見通しを立てたいと考え、日本代理店協会に相談しました。協会では、次の3点を整理するところから一緒に進めました。
- 受注済みの案件と見込み案件を、個人・店舗・施設に分けて一覧にし、工事予定日と入金予定日を月ごとに並べて、資金が最も不足する時期と金額を明確にした
- 調達した資金の使い道を、機器の仕入れ、協力業者への前払い、工事車両や部材の手配に分け、それぞれの金額の根拠を前年の実績と受注状況から説明できるようにした
- 施設や法人からの入金がまとまる2月から4月を返済のヤマに置き、売上の季節性に合わせた無理のない返済計画を組み立てた
結果
資金使途と入金予定、返済原資を整理して説明できるように準備したことで、運転資金800万円の調達につながりました。調達した資金で人気機種の在庫を早めに確保し、協力業者の工事枠も11月分まで押さえることができたため、昨シーズンのような欠品や工事待ちによる失注を出さずに冬の需要に対応できたとのことです。あわせて、仕入れ先ごとの支払い条件と施設の入金サイクルを踏まえて、毎月の資金計画を見直す運用に切り替えられたそうです。
まとめ
暖房機器のような季節商材は、売上が立つよりかなり前に仕入れと工事の手配に支払いが発生します。寒さが早く来る年ほど受注が前倒しになり、需要が伸びるほど手元資金が苦しくなるという逆転が起こりがちです。大切なのは、繁忙期が来てから慌てるのではなく、受注と入金の時期を見える化し、資金使途と返済原資まで含めて前もって説明できるようにしておくことです。同じように先行仕入れや入金の遅れで資金繰りにお悩みの代理店の方は、日本代理店協会の資金調達無料相談窓口までお気軽にご相談ください。