2025年6月に公布された改正労働施策総合推進法により、事業主にカスタマーハラスメント(カスハラ)防止のための雇用管理上の措置が義務づけられ、2026年10月1日から施行されます。従業員を1人でも雇用していれば規模を問わず対象となり、中小企業向けの猶予措置は設けられていません。代理店・FC本部の現場は顧客や加盟店と直接やり取りする機会が多く、対応の最前線に立つのは現場のスタッフです。施行まで残り2か月を切ったこの時期に、自社の体制を点検しておきましょう。
何が義務化されるのか
今回の改正は、顧客等からの著しい迷惑行為によって従業員の就業環境が害されることを防ぐため、事業主に必要な措置を講じることを求めるものです。厚生労働省は2026年2月に指針を告示しており、企業が講じるべき措置の考え方が示されています。おおむね次の柱で整理されます。
- カスタマーハラスメントに対する方針を明確化し、従業員に周知・啓発すること
- 相談に応じ、適切に対応するために必要な体制(相談窓口)を整備すること
- 実際に事案が生じた際に、迅速かつ適切に対応すること(従業員の保護を含む)
- あわせて、相談者のプライバシー保護と、相談したことを理由とする不利益取扱いの禁止を徹底すること
代理店・FC本部で見落としがちな点
販売代理やフランチャイズの形態では、対応すべき範囲があいまいになりやすく、次のような点が課題になりがちです。
- 訪問販売・訪問施工・店頭対応など、社外の現場で単独対応する従業員をどう守るかが決まっていない
- 「顧客」に加え、取引先や加盟店からの過度な要求が生じた場合の線引きが整理されていない
- 相談窓口はあるものの、ハラスメント全般の窓口として顧客対応まで想定されているか曖昧になっている
- 本部と加盟店・代理店それぞれで雇用している従業員について、誰がどの範囲の措置を負うのかが確認できていない
施行前に進めておきたい実務対応
まずは方針の明文化から着手し、現場が判断に迷わない状態をつくることが出発点になります。何が正当なクレームで、どこからが過度な要求にあたるのかを社内の基準として言語化し、対応を打ち切る判断や上長へのエスカレーション、複数名での対応や記録の残し方といった手順をマニュアル化しておきましょう。あわせて、相談窓口の担当と連絡経路を明確にし、相談があった場合に誰がどう動くかを決めておくことが重要です。契約書や取引条件、店舗掲示の内容も、方針と矛盾がないか確認しておくと安心です。
まとめ
カスタマーハラスメント対策の義務化は、2026年10月1日から規模を問わずすべての事業主に適用されます。方針の明確化、相談体制の整備、事案発生時の対応という基本の枠組みは、施行日までに形にしておく必要があります。とくに現場で顧客と直接向き合う従業員を抱える代理店・FC本部にとっては、単なる法対応にとどまらず、人材の定着や現場の安心感にも直結するテーマです。自社の体制づくりや契約・運用面の見直しでお困りの際は、日本代理店協会までお気軽にご相談ください。
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