飲食店の出店が続く時期ほど、機器の仕入れと据付の支払いが先に出ていく――。今回は、飲食店・給食施設向けに業務用厨房機器(冷蔵・冷凍設備、コンロ・フライヤー、シンク・作業台、排気ダクト)の販売から据付施工までを手がける代理店から日本代理店協会に相談された事例をご紹介します。複数の新規出店案件が重なり受注は好調だったものの、厨房機器の先行仕入れと据付・電気・ガス工事の外注費の支払いが、工事代金の入金に先行し、資金繰りが急速に逼迫していました。
相談に至った背景
同社は、本部が展開する飲食業態の出店支援が活発化し、短期間に複数店舗の厨房一式の受注が集中しました。業務用厨房は、着工前に機器をまとめて発注し、据付・電気・ガスの各工事を協力会社へ外注するため、店舗オープンに合わせた代金入金(多くは引渡し後)よりも先に支払いが発生します。出店案件が重なるほど立替負担が積み上がる「増加運転資金」が重くのしかかり、このままでは次の出店スケジュールに納期を提示できない状況でした。
日本代理店協会での整理
ご相談を受け、まず資金繰り表をもとに「何に・いくら・いつ」資金が出ていくのかを可視化しました。論点を切り分けると、次のように整理できました。
- 立替期間の長さ:機器発注から引渡し・入金まで平均で約45〜75日。出店が重なる局面ではこの期間の運転資金がまとめて必要になる。
- 案件の集中:オープン日が近接するため、機器仕入れと据付外注費の支払いも同じ時期に集中する。
- 調達の緊急度:オープン日を守り次の受注につなげるため、審査・実行までのスピードが重視される。
取った打ち手
- 必要額の根拠づけ:受注残と据付予定をもとに立替額のピークを算出し、運転資金1,000万円を必要額として設定した。
- 資料の整備:受注契約書・見積書・工程表・発注書をそろえ、赤字補填ではなく出店増加に伴う増加運転資金であることを数字で説明できる状態にした。
- 調達手段の比較:金融機関のプロパー融資・制度融資・信用保証協会付き融資を比較し、実行スピードと金利・保証料のバランスから現実的な組み合わせを検討した。
- 入金条件の見直し:着手金・中間金の設定余地を確認し、立替期間そのものを短くする交渉材料を整理した。
結果
必要額の根拠と資金使途を明確にした資料をもとに金融機関へ相談したことで、増加運転資金1,000万円の調達につながり、集中した出店案件の機器仕入れと据付外注費の支払いを滞りなく回すことができました。オープン日を守りながら次の見積・受注を進められる体制が整い、出店ラッシュを取りこぼしなく乗り切ることができています。
同じ悩みを持つ代理店の方へ
受注が伸びている時こそ、入金前の立替が膨らみ資金繰りが苦しくなる「増加運転資金」の壁は、機器の仕入れと施工をともなう代理店に共通して起こります。大切なのは、赤字ではなく前向きな資金需要であることを数字で示し、必要額とタイミングを根拠づけて早めに動くことです。日本代理店協会では、こうした資金繰りのご相談を数多くお受けしています。仕入れや据付のタイミングで手元資金に不安を感じたら、案件が重なる前の早い段階でご相談ください。